on Trails

トレイルのことを中心に、興味あることを書いていきます

2014 信越五岳 完走 <5A~Finish>


5Aデポ品の備忘

・TNFのActive Shell / Patagonia Cap4 / 着替えのキャノンボールTシャツ(ドライ)

・キャップ / タオル(5Aで汗を拭くため)
・ライト類 
 頭用 SEO 7R / 腰巻用GENTOS HW-888H   / 予備で手持ちGENTOS 閃325

 予備バッテリはSEO 7Rは専用バッテリを1個、さらに予備として単4×3を携行。
 ※SEO7Rはバッテリ2個でぎりぎり?と思っていたので念のため乾電池を携行した
 腰巻用に単3×3も携行 

・水(2l)のペットボトル

・追加用のジェル、固形食(CLIF BAR)、もち、shotz錠剤、MUSASHI REPLINISH

とこんなもの。

5Aでの着替中にこの後はActiveShellでいけるだろうと判断。Cap4は使わずにドロップバックへ戻す。また、5Aまでバックパックにいれていたシェルもドロップバックに戻した。

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SEO 7R 自動調光で軽いのですがバッテリがもたないのが難点。

5Aをスタートしてまず階段を上がりきるとフラットな大好きなトレイル。
体は動くがやっぱり両脚の股関節の痛みで走れない。ここは確実に速歩で行くしかない。
出てきた5Aからペーサーをつけた選手たちがかなりでてくる。
着替えて、補給もしっかりし、さらにペーサーをつける。元気がでないわけがない。
ペーサーをつけた選手は走力を取り戻し、ここまでの道中どんなことがあったか笑いを交えて話していく。不思議とここでぼくを抜いていく選手はペーサーをつけた選手たちだけである。

ペーサーをつけずにFinishしたい…
 信越五岳ならではの「ペーサー制度、アシスタント制度」。この制度はとてもいいものだと思う。ぼくも機会があれば取り入れたい。ただ友達が少ないから頼めないだけだ……うそです。頼めば了解してくれる友達はいる(はず)

 「まずはひとりでFinishしたい」ただ、それだけだ。

雪見平を速歩で抜け、ここからしばらくの間、だらだらと登る林道だ。
ほんとうはこの雪見平は、この大会の中のトレイルの中で一番走りたかった区間。
4Aまではまわりに選手がかなり前後していたが、この頃になると前後に選手がいない時間が少しずつでてきた。

林道から再びトレイルに入るところにWaterStation(AID)で水を一杯だけもらってトレイルへ。腰を下ろす人、ここでヘッデンの準備をする人がいた。
今回、ボクが気をつけていたのは、極力エイドでの滞在時間を減らすことだった。
特に3A以降走れないので重要。ほんとに信越五岳のエイドは居心地がいいいので5分、10分はあっという間に過ぎてしまう。
10分…走れないぼくの速歩でも10分、どフラットなら1kmは平気で進む(時速6km)
エイドのトイレが混んでいれば、コース中にある常設のトイレや次のエイドまで我慢することにした。
そうやってエイドの滞在時間は5分以内と決めていた。(5Aと8Aは別)

例年、ここから6A大橋までのトレイルはぐちゃぐちゃにぬかるんでいるのだが、今年は違った。

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完全に乾いてるわけでないけども、例年のぐっちゃぐっちゃがない。
ゆっくりゆっくりと最高地点を目指す。途中でヘッデンのスイッチを入れる。
たぶん、今年もこの区間の最高地点には服部先生がいるはずだ。

昨年、信越五岳のアドバンスドセミナーを2回にわたって受講したのだがその時のメイン講師がこの服部先生だったのだ(ゲスト講師として西城さんや弘樹さんも / 服部先生はノルディックスキーで北欧留学もしていたし昨年の斑尾50で2位のつわもの)。

途中からトレイルはやっぱり、ぐちゃぐちゃに。もうここは仕方ないんだな~と思いながら足の置き場を自分で探しながら進む。
ペーサーがいればこういった指示をしてくれるので選手は体力的にも精神的にも楽なんだろうけど、もう毎年のことだからいいですよw

にしてもたまに選手を抜くぐらいで廻りに人がいない…そして徐々にコース途中で応援しているテンションの高い声が聞こえてくる…
「まつおさん!待ってましたよ!」不意に聞こえた声、お互いにヘッデンで照らす顔。
1年ぶりに、同じトレイル、同じ場所での再会。
2分程度世間話をし、声援を背にして歩き始めた。

ぬかるんでいるトレイル、下り基調なので少しは走れるがすぐに前がつかえてしまう。

林道に出る。ここは幅が広い。去年はここから6Aまで軽快に走りきったところ。
下りはいままで走れたから同じように走りだす…だめだ…ついに林道の下りも走れなくなった。速歩もできなくなった。両脚付け根の痛みはあるが歩ける。なら歩くしかない。下りもフラットもとぼとぼ歩く。

こんなに長い区間だっけ?途中のスタッフが「あと3kmです!ナイスです!」
3kmだと30分あればつくな。 そんなことを考えながら、どんどん抜かれていく。
運動量ががっくと落ちたので寒くなってきた。ザックからActiveShellを出して羽織る。ようやく6Aの灯りが見えた。
6Aに入ると同時にNew-HALEの芥田さんの顔が見えた。

6A( 81.0km  通過18時21分) 昨年比 -37分)

痛みの部分を芥田さんに伝えるとささっとテーピングの準備をしてくれる。
そして悶絶一閃! 6Aに悶絶の声が響き渡る。ゴッドハンド降臨、助かった。

シャリ玉をいくつかと味噌汁、PowerBarをもらう。
補給作戦通りにPowerBarは摂っているが、もういいかげん飽きてる。でもちゃんと食べておかないと動けないし、食べれているうちに食べておかないと。
6Aのトイレが混んでいたのでさっさとエイドを出発。

New-HALE芥田さんのおかげだろうか?速歩がもどった。
滞在時間が短かったとはいえ(テーピング処置も含めて10分以内)、寒い。
ActiveShellを着ているのでもう少し動けば暖かくなるはず。再度、トレイルに入るところの常設トイレで用を足す。
6Aから7Aは比較的、前後に人が多かった。
7Aまでほぼ全歩きで到着、7Aで味噌汁を飲んでシャリ玉をと思ったが見当たらなかったのでPowerBarを。もうええって(笑)ポテチを数枚ほおばりながら出発。

ほんとにテーピングのおかげで気持ちよく速歩で進める。8Aあとのラストボスの瑪瑙があるので走りはしない。たぶん、走れるんだろうけど。

それにしてもほんとに信越五岳のマーキングはよい。必要最低限でまったく迷う心配がない。スタッフにはほんとに頭が下がる。

そして、ようやく8Aに到着。

友人たちが驚く。さんざん、痛い痛いといってたのでこの時間に着くとは思っていなかったのだろう。いや、ぼくも驚きなんですけど。

トイレに行き、出てきたところで腰ライトの電池を念のため入れ替え(ヘッデンは7Aを出たところで光量が落ちてまっくらになったので既に入替済)

ボトルの水も少なくなったのでここで満タンに。
ザックをしょってその上からShellを羽織ってから建物の外へ。
そばを2杯しっかりと食べて、PowerBarはついにパス。
あと18km、瑪瑙越えを5時間50分でクリアすれば時間内Finish。怪我や低体温症にならなければ確実にいける。ここでようやく「完走を確信」、友達に挨拶をして8Aを出発。

8A(92.3km 第3関門通過21時40分) 昨年比 -37分 (関門閉鎖 24時00分)

6A→7Aの貯金がほぼ一緒(こまかくいうと40秒だけ貯金使った)

 

瑪瑙は実は過去に何度も登頂している、昼だけども。だからきつさはよくわかる。
他のトレイル大会やアドバンスドセミナーできているが、夜・信越五岳の大会中にアタックするのは初めてである。
昨年は台風の影響でぼくは8Aから先にいけなかった。

ゆっくりとゆっくりと森の中を進んでいく。ずっと登りだ。直登のゲレンデには数人の選手とペーサーが見える。ぼくも歩を進める。心拍があがる、でももう130程度がめいいぱい、速歩が多いとはいえ身体は疲れている、というか練習不足だからね。

地面の土が赤くなってきた。赤くなってくると瑪瑙のピークが近くなってきたサイン。

瑪瑙のピークのスタッフに声をかけて、ピークの杭にタッチする。やっときた。4年越しの夜の瑪瑙。

上越国際スキー場の駐車場で(当時)トレイルラン1年生のぼくが「来年の信越五岳完走します」と弘樹さんに言ってから毎年その約束を果たせずに、5年たったこの夜、ようやく約束を果たせるところまできた。

下りのトレイルにはいると、走れている自分に気づかずにいた。ゆっくりと楽しく走り下っていた。
下りのゲレンデが終わる頃、逆走してくるハイテンションなランナーがいた。

弘樹さんが「やっほーい!」といいながら、ずんずんと駆け上ってくる。

 

声をかけて握手をしっかりしてもらい力をもらう。
この後、おそらく弘樹さんは瑪瑙のピークを越えて(いやもっといくかも)、コースを逆走して完走ぎりぎりとなる選手たちと「弘樹トレイン」を形成し、ひとりでも多くの選手をFinishに導くはずだ。

毎年、毎年、運営の激務の中でやっている、伝統の弘樹トレインだ。
ここまでやるか?相当な思い入れだけではここまではできない、弘樹さんだからできることである。
話は知っていたが、まさかFinishの方から逆走してくるとはびっくりだ。

100km地点を過ぎたあたりで2回目のヘッデン・バッテリーの交換。専用バッテリーはもう使い切ったので単4×3を。

この後、何回かトレイル脇でごそごどと小動物が動く音がしたけどまあ熊じゃないでしょ。去年の下見の時には小熊いましたけどw

小ピークを過ぎ(ここが実はきつい)てあとはほんとに林道にぶち当たるまで幅の広いほんとに気持ちのいい下り基調のトレイル。ゆっくりと走りながら、がしがしと前を拾っていく。

林道にでたところのエイドで水と味噌汁をもらい自分のジェルを投入。

ここからはだらだらと登る林道、7km。走れるかもしれないけど念をいれて速歩に。
身体はしっかり動いている。

「7kmを1時間10~20分で行こう!」

その言葉を胸にもくもくと歩く。

「あと1.x kmです!サブ20(時間)確実です!」とのボランティア・スタッフの声。
(正確な残り距離数覚えてないです)

「あれ?おれサブ20できんの?」
AMBIT 2Sの表示を変える…あら、ほんとだ…5A以降は心拍と時刻しかみていなかったし、途中20時間は無理だと諦めていた。

最後のボランティアスタッフがいる角を曲がる頃に後ろから聞き覚えのある声がした。

女性の友人だった。彼女は今回ペーサーをしていていい感じで選手を引いていた。
挨拶をして相乗りさせてもらう。ペーサーってすごい。こんな疲れた僕でも走れるんだから、すごい。New-HALEのおかげで痛みはまったくない(高揚感もぷらすされてます)


「ペーサー泥棒された?」 「ほんますごいされた~」とか馬鹿話をしながらずんずん進む。
Finish Areaの歓声が聞こえてくる。ライトがちらちらと見えてくる。

そして最後のゲレンデトップ越しに初めてのFinish Gateが見えた。

「おつかれさまで~す、Finishです」とスタッフ

「ひょ~!」「やっほ~」、「やった~」と3人で喜ぶ。

待ちに待った瞬間。

友人のペーサーと選手にお礼をいい、先にいってもらう。レディファーストですから。

10mぐらい距離をあけてゲレンデを駆け下りる。
110km、4年越しの信越五岳。5年かかった弘樹さんとの約束をあと数秒で果たせる


ゼッケンと名前を呼ばれる。テープを切る順番が廻ってきた。

もう終わっちゃうのか…

テープを切る直前、後ろを振り向き、走らせてもらった山々とトレイルに感謝してお辞儀。歩いて、ゆっくりとテープを両手で持ち高々とあげて110kmを終わらせた。
不思議と涙はでなかった、出ると思ってたのにw

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リザルトは19時間39分53秒

完走は8A到着の時に確信していた。19時間台での完走の公約も果たせた。
両脚付け根の痛みが10km手前ででてから22時間以内にFinishできればいいと思っていた(そもそも予定通りの練習をつんでなかった)から上出来だ。

安定した天候に助かった、ものすごく助かった。ソロとはいえ、多くのボランティアスタッフ、コアスタッフ、友人・知人、遠くから応援してくれた人、信越五岳のこの大会に関わる人たち、そしてこのエリアの自然とトレイルのおかげで完走できた。
そして深く感謝。

そして、今回関西から同乗してくれていた大浦隊長、ときちゃん、もりえちゃんがsそれぞれFinishをして会場を去る直前に完走の報告ができたこともうれしかった。

MAGMAとMUSASHI REPLINISHを再度つくり、リカバリーに努める。
女子2位になったいっちゃんや服部先生、友人・知人といろいろ話しをしてトン汁を食べて宿へ向かうバスへ。
宿の風呂からあがったのが3時40分ぐらい、大会も終わったなぁ~と思いながら4時過ぎに布団に入った。来年は選手じゃなくてボランティアスタッフかなぁ~と思いながら寝付いた…

まだまだつづきますよ…閉会式と総括かきま~す!